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小川 未明(著), 酒井 駒子(絵) 『赤い蝋燭と人魚』
【2006/02/12 10:25】
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(2002/01)
小川 未明
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大正10年の発表以来、繰り返し読み継がれ、多くの画家の挿絵にも描かれてきた小川未明の名作童話。酒井駒子の情感豊かな、ざらざらした油絵タッチの絵をつけて、新感覚の絵物語に仕上った。
わが子だけは明るいにぎやかな人間の街で育ってほしいと、冷たく暗い北の海に住む人魚の母親は願い、子どもを神社に捨てた。その赤ん坊を拾ったのは蝋燭(ろうそく)つくりの老夫婦。神さまからの授かりものと大切に育てたが、よこしまな香具師についそそのかされ、美しく成長した人魚の娘を見世物に売り飛ばしてしまう。哀れな娘が最後に残した3本の赤い蝋燭を取り戻しにきた、人魚の母の復讐は…。
人間というものへのかなしみが漂うこのお話を、酒井の絵は浄化している。幼児の心をつかんだあの『よるくま』のイラストとは異なる、こんどは奥行きある絵画性で。人魚の皮膚や貝殻、蝋燭の炎や嵐の翌朝の空の色、みな暗い闇から差す光のように見えてくる。黒く塗りつぶされた背景に、赤、青、黄の三原色を基調にした抑制された色づかいが、色とは光でもあったのだ、とあらためて気づかせてくれる。
~内容紹介(Amazon.co.jp 中村えつこ)
なんてステキな絵本なんだろう。
私は、小川未明が大好きで、もちろんこの『赤い蝋燭と人魚』も大好きなのだけれど、今まで私が繰り返し繰り返し読んでいたのは、挿絵はあまりない短編集でした。
ところが、今回見つけたこの絵本は、収められている話は1つだけで、その代わり、ものすごくステキなカラーの挿絵がつけられている。
まずね、最初の出だしの部分。
1ページにたった1行。それが、真っ黒の背景に白文字で浮かんでいる。
なんかもうね、「ドラマの始まり部分か?」ってくらい、かっこいいっすよ。
オープニングが終わり、本編に入ってからも、全ページカラーで、暗く、静かで、美しい今風の絵が、暗く静かで美しい昔風の語り口のお話に添えられている。
添えられているというか、絵の存在感が、お話と同じくらい大きい。
どちらも本当にステキ♪
いやー、絵本ってすばらしいね。
もちろん、絵本なら何でもすばらしいわけじゃなくて、自分の好みに合ったお話と自分の好みに合った絵が組み合わされている絵本が、すばらしい。
手元に置いて、宝物にしたいような絵本です。
なんか、絵に関する感想ばかりになっちゃったけど、このお話は、私にとって あまりに近しいお話なので、なんか自分の中で完結しちゃってたのね。
絵本は初めて見たので、絵の方が印象強くて、こんな感想文になっちゃいました。
まぁ、たまにはこういうのもアリってことにしといてください。
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Posted on 11:05 [edit]
category: 本などの感想
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